1996 年におきた堺市でのO157 による集団食中毒は,種々の感染症に対する論議を引き起こし伝染病予防法を改正し感染症新法が制定されるなど,感染症に対する警鐘を発する引き金となったが,実地医科や食中毒を発生させる可能性のある飲食店などではまだまだ認識が甘いと言わざるをえない。最近の雪印乳業の食中毒や,その他のメーカーの食品が腐敗していたり,異物が混じっていたりと市民に食料品を提供しているという基本的な認識がないといわざるをえない事件が多発している。また,薬物を食料品や飲食物に混入させるという卑劣な犯罪も多発しているので,これからは,医療機関でも食中毒等に対する認識が必要であると考えられるので,感染症対策委員会で食中毒を診断する際の留意点を一覧表にしてはとの提言があった。幸い,埼玉県小児医療センターの城宏輔先生が小児科臨床に一覧表としてまとめておられるので,必要と思われる物だけをまとめてみたのでご参照いただきたい。
また,食中毒については,感染源を特定し,集団感染の拡大を防止することが必要であり,原因菌が検出されたり,原因食品などが特定されるような場合には,届け出の義務があるので,直ちに保健所に届け出ていただきたい。 保健所には,宿直が24 時間,365 日待機しているので(すぐに出てもらえないケースもあるようで府医にも問い合わせがあるが)相手が対応できるまで根気よく連絡するようにお願いしたい。
また,飲食後直ちに症状が出現した場合は,毒物による症状と思われるので,吐物などの保存なども含め,直ちに保健所に届け出を行った上必要と思われる場合には警察への届けも忘れないようにお願いしたい。 夏も終わりに近づいているが,つい先日も京都府が食中毒警報を発令しておりまだまだ食中毒への警戒が必要である。
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