令和4年8月にオンライン資格確認導入の原則義務化が答申された際の中医協において、
その附帯意見の中で令和4年末頃の導入の状況について点検を行い、やむを得ない場合の
必要な対応について、その期限も含め、検討を行うことが定められていました。
この度、12月21日及び23日の中医協において、上記附帯意見に関する議論が行われ、
日医からは、多くの先生方にご協力いただいたオンライン資格確認に関するアンケート調査
の結果を示すとともに、経過措置等やむを得ない場合の必要な対応について要望されました。
その結果、経過措置の内容が決定いたしましたので、お知らせします。
概要については、下記URLよりご確認ください。
https://www.kyoto.med.or.jp/hoken/20221226-f2420.pdf
※参考:中医協の資料
(厚労省ホームページ:令和5年4月1日からの診療報酬上の措置について)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188411_00043.html
●やむを得ない事情に関する経過措置
下記の「やむを得ない事情」を抱える医療機関については、令和5年3月末までに
地方厚生局に届け出ることを条件に、それぞれの期間内は経過措置の対象となり、
保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下、療養担当規則)の違反を問われることは
ありません。
届け出の方法などは詳細が決まり次第、改めてお知らせします。
<やむを得ない事情>
(1)令和5年2月末までにベンダーと契約締結したが、導入に必要なシステム整備が
未完了の医療機関(システム整備中)
→届け出る際に改修完了予定月の記載が必要です。
期限:システム整備が完了する日まで(遅くとも令和5年9月末まで)
※医療情報化支援基金による補助の拡充措置は、令和5年9月末事業完了まで継続
(2)オン資に接続可能な光回線のネットワーク環境が整備されていない医療機関
(ネットワーク環境事情)
→離島山間地域、施設事情により光回線が敷設できない建物に加え、IPSec+IKEを利用
しなければオン資にアクセスできない地域も本項目の対象となります。
期限:オン資に接続可能な光回線のネットワークが整備されてから6か月後まで
※医療情報化支援基金による補助の拡充措置は、令和6年3月末事業完了まで継続
(3)訪問診療のみを提供する医療機関
期限:訪問診療のオン資(居宅同意取得型)の運用開始(令和6年4月)まで
※訪問診療等におけるオン資の導入に係る財政支援は、令和6年3月末補助交付まで実施
(4)改築工事中、臨時施設の医療機関
期限:改築工事が完了するまで。臨時施設が終了するまで。
※令和5年2月末までに契約し、令和5年9月末までに事業完了の場合には、
医療情報化支援基金による補助の拡充措置の対象
(5)廃止・休止に関する計画を定めている医療機関
→廃止について、令和6年秋以降を予定されている場合は、令和6年秋までは(5)でひとまず
提出いただき、それ以降の予定は(6)での個別事例の対応になると考えます。
期限:廃止・休止まで(遅くとも令和6年秋まで)
※令和5年2月末までに契約し、令和5年9月末までに事業完了の場合には、
医療情報化支援基金による補助の拡充措置の対象
(6)その他特に困難な事情がある医療機関
※例外措置又は(1)~(5)の類型と同視できるか個別判断
期限:特に困難な事情が解消されるまで
※令和5年2月末までに契約し、令和5年9月末までに事業完了の場合には、
医療情報化支援基金による補助の拡充措置の対象
(6)の「特に困難な事情」については、例えば以下の場合が想定されます。
①自然災害等により継続的に導入が困難となる場合
②高齢の医師等でレセプト取扱件数が少ない場合(目安として、令和5年4月時点で常勤の医師等
が高齢であって、月平均レセプト件数が50件以下である)
③その他例外措置又は(1)~(5)の類型と同視できる特に困難な事情がある場合
このうち、②の「高齢」の判断基準につきましては、中医協における厚労省の説明では、
「常勤の医師全員が70歳以上」との見解が示されています。
また、個々の事情において疑義が生じた場合には、地方厚生局を通じて、厚労省保険局データ企画室
に照会することとされていますので、単独で(1)~(5)または(6)の①、②、③の条件を満たす
項目がなくとも、それに近い事情を複数抱えている場合(例えば、「常勤医師全員が65~69歳で
レセプト件数が月平均50件を若干超える、令和7年に閉院を予定している」といった場合)などは、
(6)の③に該当するか個別判断されることになり、経過措置の対象となる場合もあり得ます。
そのような事情があり、経過措置の適用を希望される医療機関においては、地方厚生局に問い合わせ
することとされています。
●医療情報化支援基金による補助の扱いについて
令和4年6月7日より、オンライン資格確認導入補助が見直し、拡充され、例えば診療所の場合、
事業上限額及び補助率は以下の通りとなっています。
<診療所>
【見直し前】基準とする事業額42.9 万円を上限に3/4補助(補助上限32.1万円)
【見直し後】基準とする事業額42.9 万円を上限に実費補助(補助上限42.9万円)
(顔認証付きカードリーダー1 台無償提供)
この見直し後の内容で補助金を受けるには、下記の期間内にそれぞれの対応を進めていただく
必要があります。
a)令和4年12月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込む
b)令和5年2月末までにシステム事業者と導入に関する契約を締結する
c)令和5年3月末までに事業を完了させる(=導入を完了させる)
d)令和5年6月末までに交付申請を行う
このうちa)の顔認証付きカードリーダーの申込期限が本年12月末までと迫っています。
期限を過ぎてからの申込の場合、見直し前の補助内容が適用されることとなりますので、
まだ申込されておらず、かつ経過措置の対象とならない医療機関においては、速やかに
お申し込みください。
しかしながら、カードリーダーの申込みを12月末までに行いたい意思はあるものの、
医療機関等向けポータルサイトのアカウント登録やカードリーダーの申込み方法がわからない
といったケースがあると考えられることから、日医が厚労省に申し入れを行った結果、
運用上の個別対応がされることとなりました。
まずは、現在、カードリーダーの申込みを行っていない医療機関に支払基金より、申込み
を促すダイレクトメールが送付されています。12月16日を締め切りとして、紙での申込ができる旨
が案内されていますが、これについて、16日の締め切りは過ぎていても受領される旨を確認しています。
12月末日までの記入日を手書き記載とすることで、オンライン資格確認の導入意思があると
みなされることから、特例補助の対象となりますので、できるだけ早期のご返送、
遅くとも令和5年1月13日(金)必着にて、支払基金に届くよう郵送してください。
なお、DMの申込みを受けてから、支払基金から各カードリーダーメーカーに発注する
スケジュールを踏まえると、配送は3月になる可能性が高くなっています。そのため、
カードリーダーが届くのを待つことなく、並行して、経過措置及び補助金の特例補助の要件である
2月末までのシステム事業者への発注を行っていただく必要があります。
また、b)の通り、令和5年2月末までにシステム事業者と導入に関する契約を締結しているにも
関わらず、ベンダー側の機材調達の遅れ、対応力不足での導入作業の遅れなどで、
c)の条件「令和5年3月末までの事業完了」が達成できなかった場合は、経過措置(1)を
適用することで、令和5年9月末まで半年間、事業完了の期限を延長することができます。
ただし、令和5年3月末までに地方厚生局に届け出ることが必要になりますので、ご留意ください
(届出の方法は確定次第、改めてお知らせします)。
●導入費用が補助金内に収まらないため契約に至っていない医療機関へのお願い
レセコンや電子カルテとの連携を含めると導入費用が補助金を超えて高額となっている、
レセコンが古く連携ができないために買い替えを求められているなどの事情で、システム事業者
との契約に至っていない医療機関においては、補助金内で整備できる、オンライン資格確認の
基本部分のみの導入を是非ご検討ください。
NTT東日本/西日本等が提供している「オンライン医資格確認スタートパック」等であれば
オンライン資格確認に必要な基本的な機材、設定を補助金内に収まる金額で導入可能です。
まずは、原則義務化に対応するため、同スタートパックの導入をご検討いただき、レセコン、
電子カルテ等への接続については、経過措置期間の中での接続の検討(補助金額の残がある場合は、
上記のスタートパックとレセコン・電子カルテ等への接続改修費用を合わせて補助対象として申請)、
または、次回リプレイス時などに接続を検討いただければと思います。
日医でも、レセコンや電子カルテのリプレイスや新規導入時に、オンライン資格確認などの
医療DX対応を基本機能として追加の費用負担なく実装させることをメーカーに徹底するよう、
国や業界団体に強く働きかけていきます。
【参考】
NTT 東日本/NTT 西日本 相談、見積もり、申し込み窓口
0120-087-033(両社共通)
平日 09:00~17:00(年末年始除く)
●「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」に関する時限的な初診料の増点と再診料項目の追加
厚生労働大臣、財務大臣による大臣折衝において、令和5年度予算における診療報酬上の対応と
して、「オンライン資格確認の導入・普及の徹底の観点から、令和5年4月から12月末までの間、
初診時・調剤時における追加的な加算、再診時における加算を設定するとともに、加算に係る
オンライン請求の要件を緩和する」ことが検討項目として挙げられ、中医協での議論ののち、
同加算に修正が加えられました。
詳細は、厚労省の通知が発出され次第、改めてお知らせします。
現行の加算 → 特例措置
(令和5年4~12月)
<初 診>
マイナンバーカードを
◇利用しない 4点 → 6点
◇利用する 2点 → 2点
<再 診>
マイナンバーカードを
◇利用しない - → 2点
◇利用する - → -
※医薬品の安定供給問題を踏まえた診療報酬上の特例措置も定められ、令和5年4月以降、
外来後発医薬品使用体制加算(処方料の加算)、一般名処方加算(処方箋料の加算)、
後発医薬品使用体制加算(入院料の加算)も増点となります。
詳細は厚労省の通知が発出され次第、改めてお知らせします。