京都府医師会では以前からTPP交渉への参加について問題視し、10月15日の代議員会においても、「医療の市場化・医療格差を生む、TPP参加・医療ツーリズム推進・混合診療を導入しないこと」を求める決議を採択するなど、交渉への参加に断固反対を主張してきたところです。
しかし、これまで政府が一貫して否定してきたTPP交渉における混合診療全面解禁の議論の可能性について、昨日(11月7日)、外務省は「TPP交渉において、今後、混合診療の全面解禁が議論される可能性は排除されない」との見解を急遽明らかにしました。
この混合診療全面解禁は、我々が日本医師会を中心として、小泉政権の時代から強く反対してきた事項であり、所得の格差による医療格差を生みだし、国民皆保険制度を崩壊させることに繋がります。
ついては、本日(11月8日)、別紙の通りTPP交渉への参加に断固反対する緊急決議をとりまとめ、国会議員、府議会・市会議員等に送付しましたのでお知らせします。
※決議文(PDF版)はこちら→緊急決議(PDF版)
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政府は、11月7日、「TPP交渉において、今後、混合診療の全面解禁が議論される可能性は排除されない」との見解を明らかにした。この混合診療全面解禁は、我々が日本医師会を中心として、小泉政権の時代から一貫して反対してきた事項である。WHOも認める優れた日本の皆保険制度が維持してきた「いつでも、どこでも、だれでも」の基本概念の内、とりわけ重要な「だれでも」、即ち、「経済格差によらない医療の提供の平等性」をこの混合診療全面解禁が崩壊させるからである。
TPP交渉への参加の議論が始まって以来、我々が日本医師会を中心にして常に懸念してきたこの「TPP交渉における混合診療全面解禁の議論の可能性」について、政府は一貫してそれを否定してきた。日本の態度表明まで殆ど時間的猶予のない段階でのこの見解の公表は、この点に関する国民的議論を実質的に封殺しているに等しい。民主主義国家にあるまじきこのような政府の対応に対して極めて強い遺憾の意を表する。
経済格差が大きく拡大している今日の日本において、社会保障の根幹を成す医療におけるその提供と給付の平等性は、今後も死守されるべき国民的課題である。それが出来ない国の一部の要求を我国が受け入れるいわれはない。ISD条項の採否も含め、様々な形で出て来るであろう混合診療全面解禁の要望にどのように対応し日本の国民皆保険制度が守れるのか、政府はその具体的方策を示すべきである。
我々は、日本の医師の使命と良心によって、このような状態のままでのTPP交渉への参加を認めることはできない。
よって、以下に決議する。
一、現時点でのTPP交渉への参加に断固反対する。
一、国民皆保険制度を崩壊に導く混合診療全面解禁の要望に対する
政府の断固たる拒否の意思の表明を求める。
平成23年11月8日
京都府医師会 会 長 森 洋 一
京都府医師連盟 会 長 安 達 秀 樹
京都府医師会 理事会